シンとトニーのムーンサルトレター第239信(Shin&Tony)

鎌田東二ことTonyさんへ

 

Tonyさん、今年もどうぞよろしくお願いいたします。今回のムーンサルトレターは第239信。来月でついに第240信、満20周年を迎えます。さて、2025年最初の満月が上りました。1月の満月は、アメリカ先住民の間では「ウルフムーン」と呼びならわされていました。オオカミの繁殖期が始まるこの季節、凍てついた空の下では遠吠えがよく聴こえていたからこの名前がついたと言われています。1月は狼の繁殖期で遠吠えがよく聞こえたから、というのがその理由だとか。厳冬期ではありますが、新たな生命のサイクルはすでにスタートします。春を待つ人の心も、ひとしおであったことでしょう。


『冠婚葬祭文化論』(産経新聞出版)

 

今回は、わたしの最新作『冠婚葬祭文化論』(産経新聞出版)の話から始めたいと思います。2024年12月19日に発売された本です。サブタイトルは「人間にとって儀式とは何か」で、著者名は「一条真也」ではなく、一般財団法人 冠婚葬祭文化振興財団理事長の「佐久間庸和」となっています。同書の冒頭には「わが先考 佐久間進に捧げる」と書かれています。2024年9月20日の朝、父が満88歳で旅立ちました。亡くなった父親のことを「先考」といいますが、父はまさにわたしが考えていたことを先に考えていた人でした。父は國學院大學で国学と日本民俗学を学び、冠婚葬祭互助会を営む会社を創業しました。本居宣長や平田篤胤らの国学が「日本人とは何か」を問う学問なら、柳田國男や折口信夫らの日本民俗学は「日本人を幸せにする方法」を探る学問でした。そして、父にとっての冠婚葬祭互助会はその学びを実践するものでした。


「毎日新聞」2025年1月8日朝刊

 

生前の父は「互助会は日本人によく合う」と常々語っていました。また、「互助会の可能性は無限である」、さらには「互助会こそが日本を救う」という信念を持っていました。最近では「互助共生社会」という言葉を使い、未来に向けた新たな社会像を描いていました。それは、わたしが長年提唱し続けてきた「ハートフル・ソサエティ」に通じます。冠婚葬祭事業の未来に対して悲観的な意見を述べる方も少なくありません。しかし、父にとって、冠婚葬祭は日本人の心をつなぎ、人々が互いに助け合い支え合う社会を作り出すための基盤であり、その可能性は無限であると信じていたのです。冠婚葬祭とは「こころ」を「かたち」にする文化です。父は、小笠原流礼法をはじめ、茶道や華道にも精進していましたが、「冠婚葬祭こそ総合芸術であり、日本文化の集大成」と常々言っていました。


冠婚葬祭とは何か

 

「冠」はもともと元服のことで、現在では、誕生から成人までのさまざまな成長行事を「冠」とします。すなわち、初宮参り、七五三、十三祝い、成人式などです。「祭」は先祖の祭祀です。三回忌などの追善供養、春と秋の彼岸や盆、さらには正月、節句、中元、歳暮など、日本の季節行事の多くは先祖をしのび、神をまつる日でした。現在では、正月から大みそかまでの年中行事を「祭」とします。そして、「婚」と「葬」です。結婚式ならびに葬儀の形式は、国により、民族によって、きわめて著しく差異があります。これは世界各国のセレモニーには、その国の長年培われた宗教的伝統や民族的慣習などが反映しているからです。儀式の根底には「民族的よりどころ」というべきものがあるのです。まさに、日本文化そのものです。

 

結婚式ならびに葬儀に表れたわが国の儀式の源は、小笠原流礼法に代表される武家礼法に基づきますが、その武家礼法の源は『古事記』に代表される日本的よりどころです。すなわち、『古事記』に描かれたイザナギ、イザナミのめぐり会いに代表される陰陽両儀式のパターンこそ、室町時代以降、今日の日本的儀式の基調となって継承されてきました。初宮祝い、七五三、成人式、結婚式、長寿祝い、葬儀、法事法要・・・・・・そんな日本的儀式が「冠婚葬祭」というわけですが、それは日本人の一生を彩る「人生の四季を愛でる」セレモニーであると言えるでしょう。なお、『冠婚葬祭文化論』は120冊目の一条本となります。まだまだ道半ばですので、これからも本を書き続ける覚悟です。


松柏園ホテルの貴賓室で

新年祈願祭のようす

 

年が明けた1月4日、松柏園ホテルの神殿である「顕斎殿」において、サンレーの新年祈願祭が行われました。朝、ホテルの貴賓室に入ったら、デスクの上に父の遺影が置かれていました。父は、いつも、みんなを見守ってくれています。「創業守礼」で頑張ります!顕斎殿では新年祈願祭の神事を行いましたが、わが社の守護神である皇産霊大神を奉祀する皇産霊神社の瀬津禰宜が神事を執り行って下さいました。昨年は名誉会長だった父がいましたが、今年はもういません。寂しい限りです。この日はまず、わたしが玉串奉奠を行いました。わたしは、世界各地で行われている戦争が終結すること、能登半島地震の被災地が早く復旧すること、そして社業の発展と社員およびその家族の健康・幸福を祈願いたしました。


昨年は2人で入場しました(2024年1月4日)

今年は1人で入場しました(2025年1月4日)

 

神事の後は、松柏園ホテルのバンケット「グランフローラ」において、サンレーグループの新年進発式が行われました。例年は新年祝賀式典として行うのですが、昨年9月20日に佐久間進名誉会長が逝去したため、今年は「祝賀式典」ではなく「進発式」としました。寂しい限りです。今年も400名を超える社員が参加しました。最初にわたしが入場しました。昨年は佐久間名誉会長と2人で入場しましたが、今年は1人での入場です。まず、「ふれ太鼓」で幕を明け、「開会の辞」に続いて全員で社歌を斉唱し、それから「経営理念」「S2M宣言」が読み上げられ、これも全員で唱和しました。


『愛する人を亡くした人へ』を掲げる

 

そして、いよいよ「社長訓示」です。最初にみなさんと「今年もよろしくお願いいたします」と新年の挨拶をしました。それから、以下のような話をしました。今年は、1月から業界、いや日本中にサンレー旋風が巻き起こります。まずは、拙著『[愛する人を亡くした人へ』(現代書林・PHP文庫)を原案とするグリーフケア映画「君の忘れ方」が1月17日から全国公開されます。18日には、シネプレックス小倉でわたしが舞台挨拶を行います。ぜひ、みなさんお越し下さい。わたしが『愛する人を亡くした人へ』を書いたのは18年前ですが、そのとき「グリーフケア」という言葉を知る人は業界内でもほとんどいませんでした。

 

現在では、業界内に「グリーフケア」の言葉を知らない人はいません。1000名を超えるグリーフケア士が誕生し、業界全体がグリーフケアを推進し、ついには映画まで公開される運びとなりました。まことに感無量です。わが社は2010年に遺族の会 「月あかりの会」を発足させ、連動して集いの場所「ムーンギャラリー」を開設しました。グリーフケアには、 同じ思いの人たちが集まれる場を提供してあげることがいちばん大切で、同じように大切な方を亡くされた方々と安心して安全に語り合うことが重要なのです。ぜひ、グリーフケア活動の先駆けとしてのサンレーのレベルの高さを示していただきたい。


財団理事長としての方針を発表

 

また、昨年8月、わたしは一般財団法人 冠婚葬祭文化振興財団の理事長に就任しました。日本人の精神文化に与える影響の大きな財団の理事長として、わたしは個人的に3つの提案を重点的に発信していきたいと思います。それは、「1.冠婚葬祭業のサービス業から文化産業への転換」「2.互助会加入の義務化」「3.互助会営業員の民生委員化」の3つです。佐久間名誉会長の「冠婚葬祭で、日本人を幸せにする」という大きな目標に向かって、「創業守礼」の精神を受け継ぎながら、これからも歩み続けてまいります。日本の未来に太陽光線のように希望の光を灯す。その日まで決して諦めることなく、名誉会長の教えを実践し続けていく覚悟です。


儀式は文化の核

 

「冠婚葬祭文化」といいますが、冠婚葬祭は文化そのものです。日本には、茶の湯・生け花・能・歌舞伎・相撲・武道といった、さまざまな伝統文化があります。そして、それらの伝統文化の根幹にはいずれも「儀式」というものが厳然として存在します。たとえば、武道は「礼に始まり、礼に終わる」ものです。すなわち、儀式なくして文化はありえません。その意味において、儀式とは「文化の核」と言えます。そして、儀式が「=文化の核」なら、冠婚葬祭は「日本文化の集大成」です。茶道、華道、香道といえば日本文化を代表する「三大芸道」ですが、仏式葬儀の中にはお茶もお花もお香も、すべて含まれています。

 

「日本文化の集大成」としての冠婚葬祭を見た場合、まず「食」の文化があります。ハレの席に不可欠なものに食事があり、現代でも冠婚葬祭の諸行事のほとんどには会食が伴います。このような場合の食事として提供されるのは、正月のおせち料理など、和食をはじめとした伝統的な料理である場合も多いです。この中には、葬儀の際の通夜振る舞い・御斎・精進落としなどのように、ただ伝統的な手順で作られるのみならず、提供される品目に条件が定められているものも少なからずあります。つまり、冠婚葬祭は食文化を現代に伝えているものであると理解できます。冠婚葬祭において、今日では食事は「家族」が集まり特別な共食の場が設けられますが、食事が人と人を結びつけるとする共食文化の理論がここには息づいています。

 

「食」の文化の次には、「装」の文化があります。今日の七五三を行う上で盛装することはかなり大きなウェイトを持っています。この場合、男女問わず和装を選択することは現代でも多く、成人式の振り袖や結婚式の白無垢や色打掛など、冠婚葬祭は日本人が人生の中で伝統的な服装である和服(着物)を身につける数少ない機会となっています。この他にも、初宮の産着や還暦に際しての赤い「ちゃんちゃんこ」に代表される長寿祝にあたっての衣裳、社寺の祭事における装束、葬儀の際の死装束といった特殊な服装に至るまで、冠婚葬祭と和装は不可分な関係です。今や和服をほとんど身につけない日本人にとって、冠婚葬祭はこれを着る限られた機会であり、着物をはじめとした和服にまつわる文化の大部分は冠婚葬祭に内包されています。

 

その他にも、「歌」の文化があります。最近は少なくなりましたが、結婚式で歌いもの(日本の伝統的な声楽のなかで地歌・長唄・端唄など)や民謡・郷土歌などの伝統的な歌謡が行われることがあります。他方、葬儀においても神葬祭での誄歌・追慕歌や仏式葬儀での御詠歌など、冠婚葬祭は現代の歌謡曲でない古典的な「歌」に触れる場です。『万葉集』の挽歌に代表されるように、故人に歌を捧げることは古来行われており、現代でも先祖祭祀や故人・先人を偲ぶために献詠歌・献詠句が行われています。冠婚葬祭は、歌の文化とも密接に関係し、これを趣味以外の実用的なものとして現代に継承する装置なのです。

 

「書」の文化もあります。パソコンなどを用いて容易に文字が印刷できるようになった現代にあって、冠婚葬祭、殊に結婚式や通過儀礼、あるいは葬儀の際に用意する祝儀・不祝儀袋の表書きは毛筆で手書きされることも珍しくありません。この点を踏まえれば、冠婚葬祭は書道の文化を保全すると同時にこれを内包しているといえます。さらには、「写真」の文化があります。七五三や結婚式を写真のみで済ませる事例があるなど、現代の冠婚葬祭と写真は不可分です。写真はわが国において文化としての歴史が決して深くはありませんが、近年になって冠婚葬祭が取り込んだ文化の代表例であり、成立した時代を問わず冠婚葬祭が他の文化を取り込んできたことを示しています。


わたしたちは「文化の防人」である!

 

もちろん、いま挙げた事例以外にも冠婚葬祭とそれを構成する要素は日本に存在する多くの文化と密接に関連しています。いかに冠婚葬祭がさまざまな文化と密接に関連し、あるいはそれを保全する役割を担っているとがわかります。まさに「文化の集大成」であり、冠婚葬祭の存在なくして日本の伝統文化はもちろん、近代になって生まれたものも含めた諸文化を論じることも難しいです。すなわち、冠婚葬祭の諸儀礼を行うことがそのまま日本文化の継承となるのです。冠婚葬祭業という礼業に携わるわたしたちは、「文化の防人」です。誇りをもって、日々の業務に励んでいただきたいと思います。


高きより見守る人は陽のやうに微笑みながらさらに進めと

 

「助け合い」から「支え合い」へ。わたしたち互助会は、冠婚葬祭を通して、もう一度人と人との絆を結び直す「互助共生社会」を実現したいです。亡くなった佐久間名誉会長の口癖は、「互助会システムは日本人に合う」「互助会には無限の可能性がある」「互助会が日本を救う」でした! 名誉会長の天からのメッセージを受け止め、『すすめ! 進くん」のようにさらに前に進んで行きましょう! 60周年の大きな節目に向け、わたしたちには前進あるのみです!」と訴え、「高きより 見守る人は 陽のやうに 微笑みながら さらに進めと」という道歌を披露しました。


昨年は2人で退場しました(2024年1月4日)

今年は1人で退場しました(2025年1月4日)

 

その後、各種表彰、各部署の決意表明、締めの「和のこえ」など一連のセレモニーが終了した後、その後、一同礼をしてから、わたしは1人で退場しました。昨年のサンレーグループは素晴らしい業績で、58年の歴史の中で最高の利益を上げることができました。父への良き供養になったのではないかと思います。作家の三島由紀夫は、著書『文化防衛論』において「文化を守る営為は文化そのものでもある」と喝破しました。冠婚葬祭業者という「文化の防人」としてこの営みに参画できることを、わたしは心の底から誇りに思います。父から受け継いだ「冠婚葬祭で、日本人を幸せにする」という大きな目標に向かって、これからも歩み続けたいと思います。


今年も、よろしくお願いいたします!

 

ところで、120冊目の一条本となる『冠婚葬祭文化論』はおかげさまで大変好評のようで、即重版となりました。今年も、わたしの著書や共著が多く出版される予定です。2月には、芥川賞作家で僧侶の玄侑宗久先生との対談本『仏と冠婚葬祭~日本人と仏教』(仮題、現代書林)。3月には、東京大学名誉教授で宗教学者の島薗進先生との対談本『宗教の言い分~現代日本人の死生観を問う』(仮題、弘文堂)。5月には、京都大学名誉教授で宗教哲学者の鎌田東二先生(Tonyさん)との往復書簡集『満月交命~ムーンサルトレター』(オリーブの木)。7月には、戦後80年&昭和100年記念出版となる『死者とともに生きる~慰霊・鎮魂・グリーフケア』(仮題、産経新聞出版)。以上のラインナップが予定されています。今年も「天下布礼」のために全力で頑張りますので、どうぞ、よろしくお願いいたします!

2025年1月14日 一条真也拝

シンとトニーのムーンサルトレター第239信(Shin)2025.01.14 Shinさんこと佐久間庸和様

まずもって、昨年末、2024年12月19日刊の『冠婚葬祭文化論』(産経新聞出版)、出版、まことにおめでとうございます。次々への社会発信、すばらしくも、すごい、すてきなこと、「3S」です。

今回の本は、「人間にとって儀式とは何か」という副題、オーサー名は、「一条真也」ではなく、公的な「一般財団法人 冠婚葬祭文化振興財団理事長」「佐久間庸和」。覚悟を以て、業界を代表する者の自覚を以て社会発信されたか、よくわかります。

というのも、冒頭に、「わが先考 佐久間進に捧げる」と書かれていますが、これは、父あるいは親子という私的な関係を超えて、「冠婚葬祭業」という新領域を開拓し、創造的に進化発展させ続け来た「佐久間進」氏に対する公的な顕彰であり、敬意の表現です。

「2024年9月20日の朝、父が満88歳で旅立ちました。亡くなった父親のことを「先考」といいますが、父はまさにわたしが考えていたことを先に考えていた人でした。父は國學院大學で国学と日本民俗学を学び、冠婚葬祭互助会を営む会社を創業しました。本居宣長や平田篤胤らの国学が「日本人とは何か」を問う学問なら、柳田國男や折口信夫らの日本民俗学は「日本人を幸せにする方法」を探る学問でした。そして、父にとっての冠婚葬祭互助会はその学びを実践するものでした。

生前の父は「互助会は日本人によく合う」と常々語っていました。また、「互助会の可能性は無限である」、さらには「互助会こそが日本を救う」という信念を持っていました。最近では「互助共生社会」という言葉を使い、未来に向けた新たな社会像を描いていました。それは、わたしが長年提唱し続けてきた「ハートフル・ソサエティ」に通じます。冠婚葬祭事業の未来に対して悲観的な意見を述べる方も少なくありません。しかし、父にとって、冠婚葬祭は日本人の心をつなぎ、人々が互いに助け合い支え合う社会を作り出すための基盤であり、その可能性は無限であると信じていたのです。冠婚葬祭とは「こころ」を「かたち」にする文化です。父は、小笠原流礼法をはじめ、茶道や華道にも精進していましたが、「冠婚葬祭こそ総合芸術であり、日本文化の集大成」と常々言っていました。

この親子の私的関係を超えた公的な関係性の創発は、現代父子関係の中でも特筆すべき事例と思っています。すごい、すばらしく、すてき、な関係性、です。

 

ところで、こちらの私的状況ですが、1月14日(火)に「ポート」の手術をすることになりました。静脈血管が細すぎて必ず点滴の際の針刺しに必ず何度か失敗するのでそのストレスを解消するためにポート埋め込み手術をしました。また、主治医の木下浩一先生(日本バプテスト病院副院長)と相談し、木下先生の京都大学医学部時代の同級生で、同じ消火器外科医出身の、今は「在宅(緩和)ケア医」で、日本バプテスト病院の緩和ケア病棟長もしていた「渡辺緩和ケア・在宅クリニック」https://doctorsfile.jp/h/161192/ (京都市左京区北白川西瀬ノ内町5-2)の渡辺剛先生に「在宅医」を引き受けていただきました。クリニックは、我が家から歩いても30分、自転車で15分以内、タクシーや車で7~10分の場所にあり、日本バプテスト病院からでも徒歩10分以内で、とても便利で、安心できます。

また、今後、ガン遊詩人としての活動や比叡山登拝(東山修験道)を継続したいので、そのQOLやADLを維持していくためにも味覚障害と食欲不振を何とかしたいと、ものがたりの街クリニック院長・理事長の佐藤伸彦医師に、京都大学附属病院の漢方処方科の谷川聖明医師を紹介していただけそうです。

 

さて、Shinさんが新著『冠婚葬祭文化論』(産経新聞出版)を出したこと、わたしは、長谷川敏彦・鎌田東二対談集『超少子・超高齢社会の日本が未来を開くーー医療と宗教のパラダイムシフト』(集英社)を出しました。

そして、新年になって、昨日、以下の「神道神話の精神』(作品社、2025年1月25日刊)の見本が届きました。来週あたり、Shinさんに届くと思いますので、ぜひ存分にブログ書評してください。楽しみにしています。

J・W・T・メーソン(1879‐1941)『神道神話の精神』作品社、2025年1月25日、解説:鎌田東二

以下、本日先ほど収録した直近の動画、です。お時間のある時に、見てください。

 

J・W・T・メーソンの墓は、東京都下の「多摩墓地」(多摩霊園)にあります。そのお墓の写真も本書344頁に掲載しています。トータル380頁弱の大著、です。

 

この本は、1940年に英文で刊行されました。その1年後の1941年、日本が真珠湾攻撃して太平洋戦争に突入した1941年にニューヨークで死去しました。戦後、1951年(昭和26年)に、「10年祭」が多摩霊園で行なわれました。その出席者は33名で、その中に、<筧克彦、皆川治広、山本英輔、下村寿一、安藤正純、芳村忠明、額賀大直、津田敬武、北野吉内、福田市平、ペテー(※トーマス・ベイティ)、中野五郎、高石真五郎、千家尊宣、今岡信一良、高山貴、小野祖教>の名が記録されています。

 

その最後に、「小野祖教」の名がありますが、「神社本庁関係者」ということからの出席と推測できます。そのことを取り上げた当時の「中外日報」の記事の中に、「人々の話題に上った事は、メーソン氏の自由と創造との哲学が、日本神道の真生命をつかみ神道界を覚醒したこと、すべての人が神であるからよいので、それを只一人の天皇のみを現人神とするのは危険である」と説いたことが記事になっています。このあたりの思想性はとても重要です。

 

それから、親友の「千家尊宣」の存在も大きかった。

せんげ たかのぶ
1898.9(明治31)~ 1972.10.30(昭和47)
昭和期の神官、出雲大社教管長
埋葬場所: 1区 1種 6側
 島根県大社出身。祖父は第79代出雲国造の千家尊澄(1816-1878)。伯父は第80代出雲国造・出雲大社教初代管長・男爵の千家尊福。父は出雲大社宮司で第81代出雲国造の千家尊紀、母は子爵の松平忠和の長女の淑子の5男として生まれる。千家尊福の娘の厚子と結婚し婿養子となるが、死別したため後に分家した。
出雲大社東京分祠出張所長、4代目 出雲大社教管長に就任。國學院大學の教授や理事を務めた。主な著書に、『千家尊宣先生還暦記念神道論文集』(1958)、『神道出雲百話―皇室をめぐる日本の心』 (1968)、『出雲神道の研究―千家尊宣先生古稀祝賀論文集』 (1968)、『千家尊宣大人祭詞集』 (1974)などがある。

 

このあたり、変興味深いです。また、わたしのもう1人の恩師・國學院大學教授の戸田義雄先生のメーソン評もたいへん興味深いです。戸田先生は、「メーソンの神道には今日もなお学ぶものがある」と言っていたとメーソンの通訳や翻訳『神ながらの道』を出した今岡良一郎氏が記録しています。

 

今回の出版を機にメーソンの神道思想に広い関心を持つ方が出てきてほしいとこころから願います。

 

ところで、今日は、「1月17日」。

 

阪神淡路大震災が起こって30年。以下の一人授業をしました。ぜひ、あすあさってのお休みの時間に見てほしいです。

 

京都面白大学2025第15講「阪神淡路大震災30年と「神戸からの祈り」動画リンク:

 

(1998年8月8日開催@淡路島野島断層・神戸メリケンパーク)大重潤一郎(1946年3月9日‐2015年7月22日)・喜納昌吉達と

 

「神戸からの祈り」1998年(サンテレビ制作、ディレクター:門前喜康、46分)

動画リンク

 

京都面白大学第13講「近現代の短歌について 正岡子規・斎藤茂吉・折口信夫・与謝野晶子・山中千恵子・塚本邦雄・寺山修司」笹公人(念力歌人)×北田智弘(角川『短歌編集長』鎌田東二2025年1月16日

動画リンク:

 

 

京都面白大学第14講「文学談義②」笹公人×北田智弘×鎌田東二 2025年1月16日

動画リンク:https://youtu.be/DKRNendl4SY

また、「災害学・災害社会支援者研修センター」の「オンライン新年会」の動画。大谷賢博サンレー金沢紫雲閣

部長の大谷賢博さんも参加して発言してくれています。

京都面白大学第12講「災害学・災害社会支援者研修センターオンライン新年会」2025年1月15日 第Ⅰ期受講生と理事・スタッフ・講師たちとの交流

動画リンク:https://youtu.be/UY5PwWM6QTc

 

京都面白大学2025第11講「藤守医学哲学を世界に問う」藤守創×鎌田東二 2025年1月15日

動画リンク:https://youtu.be/SpF7Y3cuecQ

ところで、1月12日・13日の連休の2日間、京都府危機管理部主催の「防災士」の養成講習を受講していました。

京都面白大学2025第9講「防災士講習最終日に、京都府木津高校2年生徒会長の寺村朋泰さんと出逢った喜びと希望」2025年1月13日

動画リンク:

 

京都面白大学2025第8講「防災士の講習を受けに行く」京都府危機管理部主催「防災士研修養成研修」初日 2025年1月12日(日)8月30分~17時30分

動画リンク:

 

さて、これからのイベント、です。

 

明日、1月18日早朝に上京して、建築家の山本理憲さんと宗教学者の島薗進さんと、神奈川県神奈川区、東横線反町駅近くの「山本理憲アトリエ」で鼎談(NPO法人東京自由大学主催:対面とZoomのハイブリッド開催)。

翌1月19日代々木の平田神社での「平田篤胤学校息吹舎」の本年第1講。

翌1月20日、作品社の高木有さんや編集長の福田隆雄さんとの『日本人の死生観Ⅰ霊性の思想史・Ⅱ霊性の個人史』(2025年3月20日刊)の打ち合わせ。

 

いったん帰洛してまたその週の1月23日(木)午後に上京して京王ホテルに前泊し、24日(金)朝6時30分~同ホテル内で行なわれる長谷川敏彦さんや医療界・医師会関係の偉いさん方との勉強会参加。

翌1月25日(土)日渡健介さん主催のトークイベント(北青山) テーマ:ケアとこころの未来をつむぐ ー 医学と宗教学の対話

日時:2025年1月25日(土)15:00-18:00(開場14:30、懇親会あり)

場所:Moon Creative Lab 港区北青山3−10−5​​ Spring Terrace omotesando 2F

会費:一般 3,000円、学生 2,000円 + 懇親会1,000円

定員:70名

*タイムテーブル*

はじめに:主旨説明(日渡健介)

第一部:15:10-15:35 長谷川敏彦氏パート

第二部:15:35-16:00 鎌田東二氏パート

第三部:16:00-16:45 長谷川氏×鎌田氏対談、質疑応答

16:45-17:00 神道ソングライブ、おわりに

休憩(10min)

懇親会 17:10-18:00(軽食、飲料あり)

 

1月26日(日)公益財団法人日本心霊科学協会2階ホールで「ロックンロール神話考」上演

 

 

日本未来学会 新春シンポジウム

◆テーマ:「超少子化・超高齢化×人口減少」から見える新しい世紀

◆日時:2025年2月15日(土曜)午後1時15分~4時15分

◆会場:レボン・快哉湯(下町入谷のリノベーション銭湯)

◆定員および参加費:先着20名、3000円(特製ドリップコーヒー付き)

◆プログラム

第1部 長谷川敏彦×鎌田東二 「超少子化・超高齢化社会の希望」

第2部 古田隆彦×和田雄志 「人口減少が拓くル・ルネッサンスの世紀」

第3部 フリー・ディスカッション

 

長谷川敏彦さんのメッセージは、以下の通りです。

 

<世界と私周辺の環境も大きく動いています!

26年に亘って試みられてきた私と鎌田東二さんのと対話集がやっと出版されました!!

鎌田東二さんは実践的宗教学者で、54年前の熱い夏の日にヒッピーとしての鎌田さんに心斎橋で出会いました。

その後私は米国に留学し外科と公衆衛生(その他)を勉強して、帰国後は外科臨床と公衆衛生政策に携わりました。

帰国後、京大教授となった鎌田さんに再会して、米国で勉強したその他の部分をまとめて本にするよう強く勧められました。私の無為を脱する機会は昨年、鎌田さんが大きな脳転移の進行がんと知った時でした。そこで永年の宿題を果たすため、昨年の紀元節2月12日に収録された対話が書物として昨年12月13日に出版されました!!!

 

今回は以下の内容で対談します

内容

コロナパンデミックに続く三つの戦争、政治経済の大動乱と我々を取り巻く世界・社会・医療は大転換期にあり、心やケアのあり方が根本的に問い直されつつある。鎌田名誉教授は膨大な宗教学の研究のみならず上智大学を中心に緑の専門家の妖精など実際の治療やケアのあり方を追求してきた。長谷川代表理事は長年日本の医療政策に関わり医療やケアのあり方について研究提言してきたが、元来米国において社会科学や哲学の研究をそして近年ケアサイクル論や人工遷移論を通してリベラルアーツの重要性を認識してきた。

今回、この別の道を歩んできた2人が、 55年間にわたる交流を踏まえて未来を展望したのが出版された本『超少子・超高齢社会の日本が未来を開く 医療と宗教のパラダイムシフト』(集英社)である。

宗教と医療を語る本はそれぞれ多数出版されているがこれらを相互にぶっつけあって語り合う本は殆どない。今回は本でまとめられたテーマを越えて、未来の社会や医療や宗教について語り合う。未来の医療施設、病院についても模索したい。

長谷川敏彦 一般社団法人 未来医療研究機構 代表理事 〒113-0023東京都文京区向丘1-12-2TSビル2階

Tel 03-38300575

 

 

ところで、2025年1月12日‐13日の連休には、京都府庁危機管理部主催の「防災士」の養成講習を受講していました。

 

京都面白大学2025第9講「防災士講習最終日に、京都府木津高校2年生徒会長の寺村朋泰さんと出逢った喜びと希望」2025年1月13日

動画リンク:

 

 

京都面白大学2025第8講「防災士の講習を受けに行く」京都府危機管理部主催「防災士研修養成研修」初日 2025年1月12日(日)8月30分~17時30分

動画リンク:https://youtu.be/W7I9YLHmxcI

SOSITE、そして、ついに、1月26日に、東京・下落合の「公益財団法人日本心霊科学協会」の2階大ホールで、「ロックンロール神話考Ⅱ末法篇2024」を上演します。これに全力投入します。

それでは、2月の満月の夜まで。お健やかに。

2025年1月17日 鎌田東二拝

 

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IchijoShinya