第13信 Tonyこと鎌田東二さま Tonyさん、先日は思いもかけず東京でお会いできて嬉しかったです。 待ち合わせ場所の渋谷ハチ公前でTonyさんを待っているあいだ、目の焦点が合っていないアブナイ若者たちが、わたしの周囲にたむろしていました。オヤジ狩りにでも遭うのかと身構えていましたが、そのとき、Tonyさんが現れてホッとしました。いつも二人で行っていた「八丈島ゆうき丸」はビルごと消滅していて残念でしたが、東急本店近くのイタリアン・レストランはなかなか美味しかったですね。 さて、わたしが急遽 […]
第12信 鎌田東二ことTonyさま Tonyさん、昨日そして今日、大変お疲れさまでした。京都造形芸術大学の皆さんが北九州までお越し下さり、また嬉しからずやという心境です。地域文化演習として、わたしも昨夜は特別講義をさせていただきました。「冠婚葬祭の冒険」という演題を与えられ、日頃から考えている冠婚葬祭の意味および当社のさまざまな実験について語らせていただきました。時間の関係で何だか舌足らずな話になってしまいましたが、今後とも志を高く持ち、冠婚葬祭の「冒険王」とまでいかなくとも「冒険ダン吉」くらい […]
第11信 鎌田東二ことTonyさま Tonyさん、前回の戦争についてのレターには心を打たれました。父上が特攻隊におられたこと、母上が呉の軍需工場から広島に原爆が投下された瞬間を目撃されたことなどの衝撃的なお話も含め、わたしの拙いサーブを渾身の力で打ち返してきて下さいました。Tonyさんが生半可な気持ちで神道ソングを歌われたり、平和活動をされているのではないということをあらためて理解いたしました。ありがとうございました。 また8月がやってきました。昨年の8月1日の朝、サンレー本社における総合朝 […]
第10信 鎌田東二ことTonyさま まったく物騒な世の中ですね。北朝鮮が「テポドン2号」とみられる長距離弾道ミサイルを乱射しました。日本海に7発が着弾しましたが、北朝鮮はミサイル連射の事実を求めたうえに「今後もミサイル実験を継続する」と表明しました。国連を舞台に包囲網を築こうとするアメリカに対して執拗に挑発を繰り返しています。 当然のことながら、誰もが「戦争」を連想し、嫌な予感を抱いています。先日、わたしが韓国の大学で特別講義を行った際、ちょうど50歳以下の男子が月に一度の軍事訓練を行う日で […]
第9信 鎌田東二ことTonyさま お元気ですか? 先日の「朝日新聞」の書評欄に鎌田先生の新刊『霊的人間』(作品社)が取り上げられていましたね。わたしも一気に読了しましたが、たいへん興味深い本でした。ヘッセ、ブレイク、ゲーテ、本居宣長、上田秋成、平田篤胤、稲垣足穂、イエイツ、ハーン・・・次元をひとつ多く持つ、さまざまな霊的人間たちが次々に数珠の如くつながってゆくさまにコーフンしました!まるで一篇の叙事詩のように流れのある一冊ですね。 特にゲーテと宣長の共通性のくだりに強く惹きつけられました。先 […]
第8信 鎌田東二ことTonyさま 今日は5月10日、わたしの43回目の誕生日です。朝、出社すると、みんなから「おめでとうございます」という声をかけられました。鎌田先生の誕生日は3月20日ですよね。今年は、忘れもしない前日の19日、京都の近藤高弘さんのお宅で三人で義兄弟の契りを交わしました。それからテレビで「功名が辻」と「愛と死を見つめて」を観て、しばらく語らっているうちに、先生が「もう、12時を過ぎたのかな」とつぶやかれました。日付が変更したことを確認すると、「今日は、ぼくの誕生日なんですよ」 […]
第7信 鎌田東二ことTonyさま 満開の桜も次第に散りはじめていますが、いかがお過ごしですか。鎌田先生は奥様と御一緒に御自宅の近くで花見をされたとのこと。そこで法螺貝は吹かれたのでしょうか。わたしは、先週、二人の娘たちと一緒に東京は上野公園の桜を楽しみました。小倉の自宅の庭にも桜の老木が一本あるので、それを見るたび「もののあはれ」を感じております。 「もののあはれ」については本居宣長をはじめ、多くの言説がなされていますが、最近読んだ中沢新一先生の新著『芸術人類学』にも登場していました。中沢先 […]
第6信 鎌田東二ことTonyさま また、満月が近づいてきました。鎌田先生は、今度の満月をどこで眺められるのでしょうか。わたしは、本当はタイのバンコックに出張の予定があり、憧れの上座部仏教の国で月見と洒落込むつもりでしたが、このところタイの国情が不安定なため周囲の説得に従って出張を延期しました。まことに残念です。 でも、わたしの心はウキウキし、顔は自然にほころんでいます。なぜかというと、かのスバルの発見者である東京大学名誉教授の天文学者、海野和三郎先生から嬉しいお便りをいただいたからです。そう […]
第5信 鎌田東二ことTonyさま いま、金沢のホテルでこの便りを書いています。こちらは大雪で、街中を歩くのにも一苦労です。金沢には当社の冠婚葬祭施設がかなりありますので、毎月訪れております。大好きな街ですが、最も愛する作家である泉鏡花が愛した東茶屋街が特に気に入っています。夜、浅野川のほとりを散歩していると、東茶屋街の灯りがぼんやりと闇の中に浮かび上がってきて、まるで鏡花が描いた物の怪たちが支配する異界のイメージそのものです。 わたしの父は晩年を気候温暖な石垣島で暮らしたいといつも言っており […]
第4信 鎌田東二ことTonyさま 新年あけまして、おめでとうございます。今年も、どうぞよろしくお願いいたします。 鎌田先生は、暮れからずっと風邪で寝込んでおられるとのことですが、大丈夫ですか?正月も風邪のまま迎えられたわけですね。わたしは、例年通り、九州最北端にある門司・青浜の皇産霊神社にて初日の出を拝みました。見事な旭日で、まことに気分爽快でした。 さて、前回のレターは昨年12月14日にお出ししましたが、その2日後の16日に韓国から北九州市のわがサンレー本社を訪問する視察団がやってきました […]