2007年 date

ムーンサルトレター 2007年12月25日

シンとトニーのムーンサルトレター 第028信

第28信 鎌田東二ことTonyさま メリー・クリスマス!今日はいかがお過ごしですか?神道に立脚しながらも、あらゆる宗教に対してオープンなTonyさんのことですから、きっとご自分なりのクリスマスを楽しまれていることと思います。クリスマス・イブの昨夜は見事な満月でしたね。満月のイブの夜!なんて素敵なことでしょう!まるで、「13日の金曜日」の反対みたいですね。 クリスマス・イブといえば、一昨年を思い出します。あの日の夜、東京自由大学でTonyさんや玄侑宗久さんたちと集いました。そして、一緒にクリスマス・ソングを歌いました。あれは、神道も仏教も儒教もキリスト教も関係ない、ただただ平和な一夜……

ムーンサルトレター 2007年11月22日

シンとトニーのムーンサルトレター 第027信

第27信 鎌田東二ことTonyさま Tonyさん、先日の京都造形芸術大学の地域文化演習、まことにお疲れさまでした。11月2日に英彦山に登られた後で小倉に来られ、当社の松柏園ホテルで久しぶりにお会いしたときは嬉しかったです。翌3日に、学生さんたちと一緒に宗像大社を参拝され、当社の小倉紫雲閣を見学されてから、昨年と同様に松柏園ホテルにおいて特別講義が行われました。まずは北九州市立大学の佐藤眞人教授が「宗像大社と神道の成立」について話され、次にわたしが「現代の冠婚葬祭の冒険」というテーマで話させていただきました。 結婚式や葬儀の真のあり方、それに哲学・芸術・宗教が融合した「宗遊」という考え方につ……

ムーンサルトレター 2007年10月24日

シンとトニーのムーンサルトレター 第026信

第26信 鎌田東二ことTonyさま すっかり秋めいて、涼しくなってきました。この1ヵ月の間に、実にさまざまなことがありましたね。わたしの好物である赤福の不正出荷問題、および、厚生労働省と製薬会社によるC型肝炎感染者リスト問題には暗澹たる気分になりました。もともと、「食」や「薬」などの生命に関わる分野は、利益を追求する資本主義には馴染まないのかもしれません。 また21日未明には、比叡山中の明王堂で最難関荒行とされる「堂入り」が達成されました。延暦寺大乗院の星野円道住職が戦後12人目の達成者となりましたが、9日間連続で寝ず、食べず、飲まず、横にならず、ひたすら不動真言を唱え続けるというのですか……

ムーンサルトレター 2007年9月25日

シンとトニーのムーンサルトレター 第025信

第25信 鎌田東二ことTonyさま Tonyさん、お元気ですか。九月も末になって、夜には我が家の庭で虫の声が聞こえますが、日中はまだ暑さが続きますね。わたしは、あいかわらずバタバタと慌しい毎日を送っております。おかげさまで、『面白いぞ人間学』(致知出版社)も上梓いたしました。 そんな中、先日、東京は神保町の岩波ホールで一本の映画を観ました。「ヒロシマナガサキ」というドキュメンタリー映画です。アカデミー賞ドキュメンタリー映画賞に輝いたスティーブン・オカザキ監督が、500人以上の被爆者に会い、25年という歳月をかけて取材を重ね、ようやく完成させた渾身の作品です。14人の被爆者の証言と、実際の爆……

ムーンサルトレター 2007年8月28日

シンとトニーのムーンサルトレター 第024信

第24信 鎌田東二ことTonyさま ボンジュール!ヨーロッパから帰ってきました。今回の収穫は、バチカン美術館にシスティナ礼拝堂、カプリ島にモン・サン・ミッシェル。いずれも初めて訪れた場所です。バチカンのサン・ピエトロ寺院は何度も訪れていますが、美術館やシスティナは時間の関係や修復中などで、これまで中に入る機会がありませんでした。ミケランジェロの描いたモーセとイエスの生涯をじっくり鑑賞し、いろいろ考えさせられました。プロレスラーのような筋骨隆々としたマッチョなイエスには、ギリシャ哲学の影響が強く見られます。そう、ミケランジェロは熱烈なプラトン主義者でした。システィナ礼拝堂の中で、西洋における三……

ムーンサルトレター 2007年7月27日

シンとトニーのムーンサルトレター 第023信

第23信 鎌田東二ことTonyさま ようやく九州でも梅雨が明けました。今年の夏は思ったより猛暑にはならず、平年並みとか。でも、ヨーロッパでは殺人熱波が問題になっています。実はわたしは、8月7日から1週間ほどフランスとイタリアに行く予定なのです。ただでさえ暑いのが大の苦手で、真夏は滝のように汗をかくため、「ハンカチ王子」ならぬ「ハンカチ親父」と自称しています。今からヨーロッパ行きが不安ですが、熱中症にならないように気をつけます。 このところずっと忙しく、せっかく7月20日に当社の松柏園ホテルで鏡リュウジさんのトーク・ショーを開催しましたのに、業界の会合と重なって四国に飛びました。鏡さんとお会……

ムーンサルトレター 2007年6月26日

シンとトニーのムーンサルトレター 第022信

第22信 鎌田東二ことTonyさま いよいよ梅雨に入りましたね。雨が続くのも憂うつですが、晴れ間の暑さもこたえます。今年の夏は猛暑に違いありません。先日、旭川に行ったのですが、なんと気温が33度もありました。話題の旭山動物園のペンギンやシロクマたちも暑そうにしていました。 いましがた、講演を終えてきたばかりです。今日はなんと、Tonyさんの母校である國學院大學の院友会に招かれて、「日本人の心」について語ってきました。ほとんどが神職の方ばかりなので、「釈迦に説法」か「神に祝詞」か知りませんが、たいへん緊張しました。でも、わたしなりの神道・仏教・儒教が混合した日本人の宗教観と冠婚葬祭についての……

ムーンサルトレター 2007年5月30日

シンとトニーのムーンサルトレター 第021信

第21信 鎌田東二ことTonyさま Tonyさんが中沢新一氏について述べた前回のレターを読み、深く考えさせられました。なにか、宗教という一種の危険物を取り扱う人間の業のようなものまで感じました。島田裕巳氏の『中沢新一批判』については、ネット上でも騒然となっています。さまざまな人からさまざまな意見が発せられていますが、わたしは、葬儀という視点からこの問題を考えてみたいと思います。というのも、父である民俗学者の故・中沢厚氏も、叔父である歴史学者の故・網野善彦氏も、ともに自身の葬儀さえ拒否するほど、葬儀の徹底的な否定者でした。ここに、中沢新一という人の謎を解く鍵があるように思えるのです。 葬儀と……

ムーンサルトレター 2007年4月28日

シンとトニーのムーンサルトレター 第020信

第20信 鎌田東二ことTonyさま Tonyさん、先日は『モノ学・感覚価値研究(第1号)』をお送りいただき、まことにありがとうございました。単行本2冊分は優にあるボリュームですが、一気に拝読させていただきました。発刊の辞である「モノ学への挑戦」において、モノ学・感覚価値研究会代表者であるTonyさんは、「最新のトヨタやホンダの自動車づくりから伝統的な京都の西陣織まで、どのようなものづくりにおいても、すぐれたものはそれ自体の『もの』の力によって『もののあはれ』を喚起せしめる。きれい、すごい、おみごと、と思わせる。『もの』は常に『こころ』にはたらきかけ、ゆさぶり、うごかし、『たましい』まで発動さ……

ムーンサルトレター 2007年3月31日

シンとトニーのムーンサルトレター 第019信

第19信 鎌田東二ことTonyさま Tonyさん、まずは御母堂さまの御逝去、心よりお悔やみ申し上げます。まったく存じ上げずに、前回のレターで初めて知りました。Tonyさんの「おかあさん、ぼくをうんでくれてありがとう」にはじまる手紙のような詩には心を打たれました。あの詩はまさにTonyさんにとっての「おふくろさん」ですね。 川内康範の作詞した「おふくろさん」を森進一が歌詞を改変して歌った問題ですが、土産に置いていった虎屋のヨウカンを送り返すほど、老作詞家は激怒しています。あの歌詞によほどの思い入れがあるようですね。聞けば、川内康範の母親は立派な人だったとか。生活は豊かではなかったけれども、さ……