第27信 鎌田東二ことTonyさま Tonyさん、先日の京都造形芸術大学の地域文化演習、まことにお疲れさまでした。11月2日に英彦山に登られた後で小倉に来られ、当社の松柏園ホテルで久しぶりにお会いしたときは嬉しかったです。翌3日に、学生さんたちと一緒に宗像大社を参拝され、当社の小倉紫雲閣を見学されてから、昨年と同様に松柏園ホテルにおいて特別講義が行われました。まずは北九州市立大学の佐藤眞人教授が「宗像大社と神道の成立」について話され、次にわたしが「現代の冠婚葬祭の冒険」というテーマで話させてい […]
第26信 鎌田東二ことTonyさま すっかり秋めいて、涼しくなってきました。この1ヵ月の間に、実にさまざまなことがありましたね。わたしの好物である赤福の不正出荷問題、および、厚生労働省と製薬会社によるC型肝炎感染者リスト問題には暗澹たる気分になりました。もともと、「食」や「薬」などの生命に関わる分野は、利益を追求する資本主義には馴染まないのかもしれません。 また21日未明には、比叡山中の明王堂で最難関荒行とされる「堂入り」が達成されました。延暦寺大乗院の星野円道住職が戦後12人目の達成者とな […]
第25信 鎌田東二ことTonyさま Tonyさん、お元気ですか。九月も末になって、夜には我が家の庭で虫の声が聞こえますが、日中はまだ暑さが続きますね。わたしは、あいかわらずバタバタと慌しい毎日を送っております。おかげさまで、『面白いぞ人間学』(致知出版社)も上梓いたしました。 そんな中、先日、東京は神保町の岩波ホールで一本の映画を観ました。「ヒロシマナガサキ」というドキュメンタリー映画です。アカデミー賞ドキュメンタリー映画賞に輝いたスティーブン・オカザキ監督が、500人以上の被爆者に会い、2 […]
第24信 鎌田東二ことTonyさま ボンジュール!ヨーロッパから帰ってきました。今回の収穫は、バチカン美術館にシスティナ礼拝堂、カプリ島にモン・サン・ミッシェル。いずれも初めて訪れた場所です。バチカンのサン・ピエトロ寺院は何度も訪れていますが、美術館やシスティナは時間の関係や修復中などで、これまで中に入る機会がありませんでした。ミケランジェロの描いたモーセとイエスの生涯をじっくり鑑賞し、いろいろ考えさせられました。プロレスラーのような筋骨隆々としたマッチョなイエスには、ギリシャ哲学の影響が強く […]
第23信 鎌田東二ことTonyさま ようやく九州でも梅雨が明けました。今年の夏は思ったより猛暑にはならず、平年並みとか。でも、ヨーロッパでは殺人熱波が問題になっています。実はわたしは、8月7日から1週間ほどフランスとイタリアに行く予定なのです。ただでさえ暑いのが大の苦手で、真夏は滝のように汗をかくため、「ハンカチ王子」ならぬ「ハンカチ親父」と自称しています。今からヨーロッパ行きが不安ですが、熱中症にならないように気をつけます。 このところずっと忙しく、せっかく7月20日に当社の松柏園ホテルで […]
第22信 鎌田東二ことTonyさま いよいよ梅雨に入りましたね。雨が続くのも憂うつですが、晴れ間の暑さもこたえます。今年の夏は猛暑に違いありません。先日、旭川に行ったのですが、なんと気温が33度もありました。話題の旭山動物園のペンギンやシロクマたちも暑そうにしていました。 いましがた、講演を終えてきたばかりです。今日はなんと、Tonyさんの母校である國學院大學の院友会に招かれて、「日本人の心」について語ってきました。ほとんどが神職の方ばかりなので、「釈迦に説法」か「神に祝詞」か知りませんが、 […]
第21信 鎌田東二ことTonyさま Tonyさんが中沢新一氏について述べた前回のレターを読み、深く考えさせられました。なにか、宗教という一種の危険物を取り扱う人間の業のようなものまで感じました。島田裕巳氏の『中沢新一批判』については、ネット上でも騒然となっています。さまざまな人からさまざまな意見が発せられていますが、わたしは、葬儀という視点からこの問題を考えてみたいと思います。というのも、父である民俗学者の故・中沢厚氏も、叔父である歴史学者の故・網野善彦氏も、ともに自身の葬儀さえ拒否するほど、 […]
第20信 鎌田東二ことTonyさま Tonyさん、先日は『モノ学・感覚価値研究(第1号)』をお送りいただき、まことにありがとうございました。単行本2冊分は優にあるボリュームですが、一気に拝読させていただきました。発刊の辞である「モノ学への挑戦」において、モノ学・感覚価値研究会代表者であるTonyさんは、「最新のトヨタやホンダの自動車づくりから伝統的な京都の西陣織まで、どのようなものづくりにおいても、すぐれたものはそれ自体の『もの』の力によって『もののあはれ』を喚起せしめる。きれい、すごい、おみ […]
第19信 鎌田東二ことTonyさま Tonyさん、まずは御母堂さまの御逝去、心よりお悔やみ申し上げます。まったく存じ上げずに、前回のレターで初めて知りました。Tonyさんの「おかあさん、ぼくをうんでくれてありがとう」にはじまる手紙のような詩には心を打たれました。あの詩はまさにTonyさんにとっての「おふくろさん」ですね。 川内康範の作詞した「おふくろさん」を森進一が歌詞を改変して歌った問題ですが、土産に置いていった虎屋のヨウカンを送り返すほど、老作詞家は激怒しています。あの歌詞によほどの思い […]
第18信 鎌田東二ことTonyさま Tonyさん、お元気ですか?なんだか気持ちが悪いくらいの暖冬ですね。コートがまったく不要です。いま金沢ですが、例年2月には大雪が降るのに、今年はさっぱりです。東京をはじめ、初雪の前に春一番が吹き、早くも梅の花が各地で咲きはじめています。桜もすぐに開花することでしょう。明らかに異常です。先日、アカデミー賞のドキュメンタリー映画部門を受賞した地球温暖化についての映画「不都合な真実」を観ましたが、思わず、「うーん」とうなってしまいました。地球に住むわたしたち全員が […]