ムーンサルトレター 21st page

ムーンサルトレター 2009年6月8日

シンとトニーのムーンサルトレター 第046信

第46信 鎌田東二ことTonyさんへ 先月は、なかなか返信が来ませんでした。Tonyさんに何かトラブルでもあったのかと思って心配しましたが、何ごともなくて本当によかったです。 さて、今年の1月14日に中央大学の高窪統教授が殺害されましたが、容疑者として教え子のアルバイト店員が逮捕されましたね。ショックでした。捜査本部は、容疑者が大学時代に教授へ不満を持って一方的な思い込みから恨みを募らせたとみて調べていました。8日の「朝日新聞」夕刊によると、容疑者は警視庁の調べに、「忘年会で高窪さんに疎外されていると感じた」などと供述しているとか。 事件の直後に、わたしは北九州市立大学の某教授とお会いし……

ムーンサルトレター 2009年5月10日

シンとトニーのムーンサルトレター 第045信

第45信 鎌田東二ことTonyさんへ Tonyさん、ゴールデンウィークはいかがお過ごしでしたか?わたしは、ずっと北九州におりましたが、4月21日から25日まではオーストラリアに行ってきました。その目的は、かの「世界最高の仕事」に応募するためです。そう、オーストラリアのクイーンズランド州観光局が用意した、同州にあるハミルトン島の管理人の仕事のことですね。ハミルトン島は、世界最大のサンゴ礁・グレートバリアリーフのリゾート地ですが、そこの管理人の仕事というのがなかなかの条件なのです。「100年に一度」といわれる世界同時不況の最中にあって、プール付きの日本円で約3億円の豪邸に、交通費などの諸経費の支……

ムーンサルトレター 2009年4月8日

シンとトニーのムーンサルトレター 第044信

第44信 鎌田東二ことTonyさんへ Tonyさん、ヨーロッパはいかがでしたか?パリにも行かれたとのことで、久々の「魂の里帰り」を満喫されたことだと思います。日本では、各地で桜の花が咲き、多くの人が花見で盛り上がりました。わたしも小倉の自宅や実家の庭で、東京の四谷で、金沢の兼六園で、それぞれの桜を楽しみました。それにしても、日本人は本当に桜が好きです。最近、『花をたのしむ』(現代書林)という本を上梓したのですが、その中に「バラを愛する西洋人、桜を愛する日本人」という一文を書きました。西洋人が「永遠の生命」のシンボルであるバラを愛するなら、日本人は「限りある生命」のシンボルである桜を愛してきま……

ムーンサルトレター 2009年3月9日

シンとトニーのムーンサルトレター 第043信

第43信 鎌田東二ことTonyさんへ ひと雨降るごとに暖かくなり、春の予感がいたします。また満月の夜がやって来ました。わたしにとって、いや日本人にとって、最近の大きなニュースといえば、なんといっても日本映画『おくりびと』が第81回アカデミー賞の外国語映画賞を受賞したことです。日本映画界初の快挙!レターの第37信にも書きましたように、弊社ではこの映画の前売券を大量購入し、ほぼ全社員で鑑賞いたしました。また、周囲の親しい方々にもチケットをお配りしてきましたので、このたびの快挙の感動はひとしおでした。 「日本人は、いや世界中どこでも同じだが、死を忌み嫌う傾向がある。企画をいただいたときは不安だっ……

ムーンサルトレター 2009年2月9日

シンとトニーのムーンサルトレター 第042信

第42信 鎌田東二ことTonyさんへ Tonyさん、また満月の夜がやって来ました。今夜はあいにくの雨ですが、昨夜までの月は見事に輝いていました。冬は空気が澄んでいて、ことさら月が明るく感じます。なぜ、月は光輝くのか。いうまでもなく、太陽光を反射しているからです。前回のレターは、その太陽の話題で盛り上がりましたね。とくに、俳優の仲代達矢さんの「人間、太陽がある限り生きていける」という言葉は心に突き刺さりました。 その言葉が何かに似ているなと思って、よく考えたところ、父である佐久間進の著書『わが人生の「八美道」』(現代書林)の冒頭に出てくる言葉だと気づきました。沖縄は八重山の海に昇る朝日の写真……

ムーンサルトレター 2009年1月11日

シンとトニーのムーンサルトレター 第041信

第41信 鎌田東二ことTonyさんへ Tonyさん、新年あけましておめでとうございます。今年も、どうぞよろしくお願いいたします。Tonyさんは、師走は風邪を引かれていたそうですが、もう良くなられたのでしょうか。お正月は、いかがお過ごしになられましたか。 わたしは、例年通り、九州最北端にある門司・青浜の皇産霊神社に会社の幹部一同と元日参拝しました。今年は雪が降り、あいにく初日の出を見ることができませんでした。年の初めに旭日が拝めないと、やはり物足りません。わたしの会社は、その名のごとく、サンレー(SUNRAY)、すなわち太陽の光を何よりも求める集団ですので。 そういえば、今年最初に読んだ本……

ムーンサルトレター 2008年12月12日

シンとトニーのムーンサルトレター 第040信

第40信 鎌田東二ことTonyさんへ Tonyさん、お元気ですか?このレターも、もう40信目ですよ。早いものですね。前回のレターの最後に、Tonyさんの「人間は人間中心とエゴを尊重しすぎたのではないでしょうか」という言葉がありました。たしかに、そうかもしれません。そういう側面があるとわたしも思いますが、また一方で、現代の社会において人間は決して尊重されていないとも感じます。特に、人間の命がまったく尊重されていないのではないでしょうか。 最近のショッキングなニュースといえば、なんといっても「元厚生事務次官宅連続襲撃事件」です。小泉毅容疑者は調べに対して、「今回の決起は、保健所に家族を殺された……

ムーンサルトレター 2008年11月13日

シンとトニーのムーンサルトレター 第039信

第39信 鎌田東二ことTonyさんへ Tonyさん、わたしは、いま金沢にいます。昨日は北陸大学で授業を行ない、今日は「北國新聞」のインタビューを受けました。もともと金沢は大好きな街でしたし、弊社の拠点も多いのでよく訪れていましたが、北陸大の客員教授になったおかげで、さらに来る回数が増えました。先日は、金沢を中心としたサンレー北陸の社員旅行にも参加し、立山・黒部の紅葉を楽しんできました。その後、長野に足を伸ばして、善光寺にお参りしました。 善光寺といえば「観光仏教」を象徴する寺のひとつだといえるでしょうが、初めて参拝したわたしも、そのことを強く感じました。そして、ここ数年で訪れた法隆寺にしろ……

ムーンサルトレター 2008年10月26日

シンとトニーのムーンサルトレター 第038信

第38信 鎌田東二ことTonyさんへ Tonyさん、『聖地感覚』(角川学芸出版)の御出版、まことにおめでとうございます。早速読ませていただきましたが、面白くて一気に読了しました。とくに、東山修験道の章が迫力満点ですね。Tonyさんは、東山を新月の夜や満月の夜に懐中電灯ももたずに歩かれることがしばしばあるとか。「初めの頃は少し怖い思いもしたが、今ではとくに新月の夜の暗闇の中を歩いていると、心の底から喜びと安心感がふつふつとたぎってくるようになった」と書かれていて、仰天しました。本当に大丈夫ですか? また、「暗闇の中では前面感覚よりも背面感覚や側面感覚が鋭敏になり、背中に羽が生えているような感……

ムーンサルトレター 2008年9月14日

シンとトニーのムーンサルトレター 第037信

第37信 鎌田東二ことTonyさんへ 日中はまだまだ残暑が厳しいですが、夜の庭には虫の声も聞こえるようになり、すっかり秋らしくなってきました。なによりも、今日は中秋の名月です。でも、今夜は空が曇って月が見えません。まことに残念ですが、つい数日前までは妖しいほど美しい9月の月光を浴びて、瞑想的な気分になっていました。瞑想とは魂のコントロール技術だと思いますが、月光が人間の魂に与える瞑想的な魔力を見事に表現した人物に宮沢賢治がいます。 賢治は20代の半ばに東岩手火山に登り、一夜を明かしました。そして、夜中の体験をそのまま帰ってきた翌日に「東岩手火山」という詩を書き、「月光は水銀月光は水銀」と……